前回のロンドン留学記では、ホームステイ先と語学学校での初日の様子をお伝えしました。
さっそく1日目の授業でついていけないと感じ意気消沈したわけですが、今回の記事では、その状態からどうやって友達を作り、どのように英語を話せるようになっていったのかを皆さんにお伝えしていきます。
留学に興味をお持ちの方はもちろん、英語やほかの言語を勉強している方にも是非読んでいただきたい内容です。
異国の地で自分だけ言葉が発せない辛さともどかしさ、英語が通じた時の嬉しさがきっとわかっていただけると思います。
留学1日目にして授業についていけず絶望
初日は周囲の学生の英語力と自分の英語力のギャップにショックを受け、どっと疲れて帰路につきました。
しかし、私は決して安くないお金を払って留学を経験させていただいているのだから、この国で何も得ずに帰るなんてとんでもない。
ホストマザーには私の英語が通じているんだから、学校でも耳が英語に慣れれば大丈夫と自分に言い聞かせていました。
クラスの雰囲気は開放的で活発
休み時間に分からなかった英単語を調べてせっせとノートに写していたら、台湾人のクラスメイトが
「何やってるの!休み時間だよ!休憩しないと!」
と声をかけてくれました。
English Pathのような語学学校は1週間ごとに新しい留学生がやってきて、在学期間も1週間だったり1か月だったり1年だったり、人によってまちまちだから、一瞬一瞬の出会いをみんなが大切にしています。
新入生をクラス全体で歓迎し、積極的に話しかけて友達になろうとするのです。
刹那的な出会いを大切にしているからなのか、欧米にいるからこそのフレンドリーさなのか。
とにかくこの空気がとても好きでしたし、心地よかったです。
ただ、放課後クラスメイト達がカフェスペースで雑談したり学校主催のアクティビティに参加したりしている中に入っていくのは、始めはどうしても辛く感じました。
会話の大まかな内容は何となく理解できるのですが、詳細までは聞き取れません。
何か言いたくても、頭の中に英語が浮かんでこないので、自分からその会話に入っていくこともできませんでした。
ただ、日本語なら会話に入っていけるのかというと、そういうわけでもないのです。
私はもともと一人でいるのが好きで、あまり大人数で話したり遊んだりするのが得意なタイプではなかったのです。
グループ学習には苦戦…
そして鬼門はグループ学習。
授業ではグループになって文法問題を解いたりディスカッションしたりするのですが、他のメンバーは英語をペラペラ話し、活発に議論を交わしているのに、自分だけ全く英語が出てこない……
そして「あなたも何か意見を出して!」
と言われる始末です。
イギリスでの生活様式の違いや、授業へのついていけなさに加えて、自分がコミュニケーションがうまく取れないことに大いにがっかりしました。
初めての経験 これがホームシックか…
私はこれまで一度もホームシックになったことはありませんでした。
ホームシックになったことがある人は、自分の家を恋しく思えるなんていう人は、素敵な家庭をもっているんだろう、うらやましいとさえ思っていました。
私はとても一人で過ごすのが好きな性格で、個室さえあればどんな場所でも暮らせると思っていました。
でもイギリスに来てたったの数日で、安心して町を歩けるのも、町や住居が清潔なのも、シャワーからお湯が出るのも、店員さんの対応が親切で丁寧なのも、安くて美味しい食事が食べられるのも、すべて当たり前ではないと痛感し始めていました。
やはり日本はあらゆる意味で特別な国なのです。
日本を離れてはじめて気付いた日本の素晴らしさ、愛おしさ
そして私は、自分で気づかなかっただけで、日本での家族との生活をとても愛おしく思っていたんだということに気付かされました。
自分は今ホームシックなのだと実感して、私はますます内側にこもりたくなりました。
クラスメイトと授業以外で交流する気になれず、学校が終わったらホームステイ先付近のスターバックスで宿題をやるか、直帰。
憧れの国イギリスへ来ているのに、何をしているんだろう。
出国前は「英語でコミュニケーションをたくさん取れるようになって、友達がたくさんできるんだろうなあ」と大きな期待を抱いていたのに、このときは「クラスのみんなは英語が下手な私と話しても面白くないだろうな」と意気消沈していました。
言語習得のヒントをつかむ!
その夜、なんとか言語習得のヒントを得ようと、部屋でネットサーフィンをしていたところ、重要なヒントを得ることになりました。
「理解可能なインプット」と「理解可能なアウトプット」
英語が流暢な人にも、きっと英語がわからなくて苦労した経験があるはず。
そう思って、アメリカでの留学生活について発信しているYouTuberしきやなるみさんの「聞いただけで英語は流暢にならない⁉英語教育の常識を覆す動画になりました」という動画を見てみました。
すると英語の習得にはいろいろな論説があるけど、「理解可能なインプット」と「理解可能なアウトプット」の両方が必要であるらしいことが分かりました。
おそらく、私がこれまでしてきたのは、リーディングやリスニングなどの「理解可能なインプット」であって、圧倒的にアウトプットが足りていなかったのです。
スピーキングやライティングへの強い苦手意識はずっとあったけど、このように見事言語化された論拠を見て、もっと英語を話さなきゃ!アウトプットを増やさなきゃ!という強い思いに駆られました。
英語を話せるようになりたいなら勉強するな!?
渡英前、言語学習についていろいろ調べているときに、YouTubeでひろゆきさんが英語学習について話している動画を見つけました。
ある相談者の「留学中で、毎晩で勉強してるけど上達しません。どうしたら上手くなれますか?」という質問に対して、
「勉強なんかしてるからじゃないですか?僕が留学した時は、素面の時よりお酒を飲んで酔っぱらってる時の方が英語を話せた。何も考えないでどんどん話した方がいいと思う。」
と言っていたのです。
「理解可能なインプット」と「理解可能なアウトプット」の両方が必要であるという説を聞いて、そのことを思い出しました。
言語は筋肉と一緒?4技能はバランスよく鍛えることが大切!
いつか参加したハーフ会というハーフの方々で交流するイベントで、マルチリンガルのフランス人の方に出会いました。
彼はフランス語はもちろん、英語と日本語も堪能で、どうやって3か国語も習得したのか聞いてみました。
すると、
「いくら単語を覚えたり読めるようになったりしても話せるようになるわけはない。言語は筋肉と一緒で、どこか一部分だけ鍛えればいいものではない。リーディングやリスニングだけ勉強しても話せるようにはならない。スピーキングやライティングも含めて4技能をバランスよく鍛えないと言語は習得できない。」
と彼は言いました。
日本にいる頃は、とにかく仕事で役立つ英語を身に着けなければと思い、TOEICの勉強に励んでいました。
ですが過去問を何周も解いても、英語でのコミュニケーションスキルが上達している実感は全く得られませんでした。
実際に外国人といざ英語で話すとなると、全く英語が出てこず頭が真っ白になりました。
それもそのはずです。
机に向かって勉強していれば英語を話せるようになるわけじゃない。
大事なのは「発話」。
私はこれまで、英語が堪能な人に出会うと必ず「どうしたら英語を話せるようになるんですか?」と尋ねていました。
その返答は実に様々でしたが、今もし私が誰かから同じ質問をされたとしたらこう答えるでしょう。
「話すこと。」
友達にあの話をしたい!先生にこの質問をしたい!
そういう思いが英語を上達させるためのブースターだったのです。
思えば、私達だって日本語をスラスラ話せるようになるまでは
「お父さんやお母さんや周りの大人が話しているのを聞く」
「喃語を発する」
「単語を発話す」
「2語文を話す」
「ひらがなを覚える」
など、かなり複雑なプロセスを辿ってきたはず。
正しい方向に努力すれば言語は習得できると私は確信しました。
内向的な私がどうやって友達を作ったのか
イギリスに来てから2週目の月曜日、私は早めに学校に行きました。
宿題が終わっていなかったので、学校のエントランスにあるカフェで朝やろうと思ったのです。
するとそこには同じことを考えていたであろうクラスメイトのブラジル人とタイ人の女の子が二人で座っていました。
「ここに座りなよ」
と二人は声をかけてくれました。
私が席に着くと、ブラジル人の子は私にこう言いました。
「授業は楽しめてる?あなたはシャイだから」
そうか、私、周りからそんな風に見られていたのか、とはっとしました。
自分の英語に自信がないのは私だけじゃない
私は消極的でどちらかと言えば人見知りなほうですが、学校であまり話せないのは授業が楽しくないからでもシャイだからでもありません。
自分の英語に自信がなくて、話すのが怖いだけだったのです。
正直にそう話すと、タイ人の子が
「わかる!私もだよ!」
と言いました。
二人ともイギリスに来てから数か月が経っていて、学校生活にも、この国の暮らしにも、すっかり馴染んでいるように見受けられました。
それでも、自分の英語が正しいかどうか、宿題の文法問題が合っているかには自信がないらしいのです。
私だけじゃなかったんだ。
私はなぜ英語を間違えるのが怖いからと、授業からも友達からも逃げていたんだろう。
向き合えば怖くなくなる。
「本当はイギリスで友達いっぱい作りたいなって思ってたの。だけど英語に自信がなくて。」
と正直に話すと、
“You CAN!!.“
と友達は言いました。
実は英語がペラペラなほかの留学生も間違った英語を話している
クラスでは毎週文法やライティングなどの小テストが行われます。
その答案を隣の席の人と交換して互いに採点し合います。
すると、英語をスラスラ話していたかに見えたトルコやブラジル、イタリアの留学生も、文法問題をかなり間違えていることに気付きました。
私のほうが文法のテストの点数は高いものの、言葉数は圧倒的にほかの留学生のほうが多い。
そこで私は、間違っていても構わず英語を発話することの大切さに気付いたのです。
Don’t worry,You shoul be OK きっと大丈夫
担任の先生は初日、授業についていけず終始大人しくしている私にこう言ってくれたのを思い出しました。
“Don’t worry,You shoul be OK.“
本当にその通りだったのです。
以降、私は彼女たちと行動を共にしました。
授業の合間の休憩時間にお茶をしたり、ロンドン市内を観光したり、恋バナをしたりもしました。
異国の地では自己開示と社交性は必須アイテムだ。
次回はロンドン留学記④ ノッティング・ヒル散策レポートです!
最後までお読みいただきありがとうございました。